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新型コロナで「手洗い」と「消毒」が日常的になりました。どのお店、どの施設でも入口に消毒液が設置されています。
☆石鹸での手洗いの目的(石鹸は除菌であって殺菌ではない)
一般に使われる石鹸は「陰イオン界面活性剤」で陽イオンである皮膚の汚れ、汚れに付着したウイルスや細菌を吸い取る作用があります。界面活性剤には泡を起こす作用もあり、その泡で皮膚の細部までの汚れ・微生物を浮かせて取り除くことができます。
石鹸自体には微生物を殺す作用はほとんどありません。先述のように、手指から汚れと微生物を浮き上がらせる作用です。浮き上がったものを水道水の流水で洗い流すのです。「この流水で洗い流す」事を時間をかけ十分に行う事が重要です。すでにご存じの手洗い方法と、ウイルスの除去効果を下に示します。これをみると、流水でのすすぎ15秒まで手洗いは2回やれば手に残るウイルスがかなり減りますね。
☆アルコール消毒液
皆さんもアルコール(エタノール)で手指やドアのノブなどを消毒していると思います。
新型コロナウイルスは周囲を膜で包まれているエンベロープウイルスの一種です。ウイルスにはこの膜がないノンエンベロープウイルスもあり、エンベロープウイルスはこの膜がアルコールで破壊されるという消毒に弱い性質があります。幸い?コロナウイルスはエンベロープウイルスなので、アルコールが効きます。反対にノロウイルスやロタウイルスなどのノンエンベロープウイルスはアルコールが無効でやっかいです。これらは次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイター、ミルトンなど)での消毒が必要です。
「イソプロパノール」もアルコールの1種です。エタノールと同等効果があり、しかも安価なため、エタノールにこれを混合した消毒液もあります。下の写真は当クリニック診察室に置いてある手指消毒薬ですが、成分表には有効成分エタノール、添加物としてイソプロパノールが入っています。
☆ベンザルコニウム塩化物(界面活性剤)
ベンザルコニウム塩化物はアルコールではなく、陽性界面活性剤です。結核菌や真菌には無効ですが、一般的な細菌や新型コロナウイルスなどエンベロープウイルスに効果があります。普段の成人の採血で、アルコール過敏症の人の皮膚消毒に使います(オスバンなど)。界面活性剤は油と水の境界を無くし、混ざり合わせる作用があります。この働きで細菌の膜やウイルスのエンベロープが破壊されます。ちょうど、敵同士が壁を挟んでにらみ合う状況で、その壁が崩れて両者入り乱れて乱闘、荒れた状況になるイメージです。
☆消毒液の選び方
まずは成分ラベルを見ることです。エタノール濃度は70-95Vol%が有効です。下の写真はエタノールIPAという商品ですが、エタノールは適切な濃度です。添加物としてイソプロパノールも入っています。
下のビオレuはベンザルニコウムがメインで、その濃度が0.05w/v%です。厚労省はこの濃度でモノ(テーブル、ドアノブなど)に付着した新型コロナへの有効性を提示しています。さらに添加物としてエタノールの記載がありますが、濃度の記載がないので、エタノールとしての効果は不明です。
☆その他の添加物
消毒液の基本は①エタノール②イソプロパノール③ベンザルニコウム塩化物でこの3つの単独、組み合わせがメインですが、ビオレuで述べたように、③は手指ではなく「モノ」が対象になっています。また、エタノールは皮膚のかぶれなどを起こす場合もあり、保湿剤としてプロピレングリコール、乳化剤としてミリスチン酸イソプロピルなども入っているものも多くあります。
☆最後に
消毒液は成分ラベルを良く見て選び、手洗い、マスクと一緒に活用しましょう。