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先日のNHKニュースの中で、辞書で調べる時、昔ながらの「紙の辞書」とスマホやパソコンの「電子辞書」ではどちらが記憶に残るか、という特集をやっていました。紙の辞書の方が記憶に残りやすく、電子辞書では調べてもすぐに忘れてしまう、という結果でした。紙の辞書の方が記憶機能に関わる脳の前頭葉が活性化され、記憶に残りやすいのです。
昔は英語や国語、漢字など分厚く重い辞書を引いていました。しかし、使い慣れると、探している単語のページがすぐに開けることがあり、その瞬間は嬉しかったものです。小説や漫画も今は電子書籍がありますが、昔は読書していても残りページが目に見えてわかり、「あと何日くらいで読める」という予測が立ちました。
1950年代、今では有名な進学校になった中高の国語教師に赴任した先生は、教科書を使わず、「1冊の小説で6年間かけて」勉強することにしました。そのゆっくりで、正式な教科書を使わず、たった1冊の小説を使う方針には保護者はもちろん、他の教師からも批判をあびました。その国語の先生の教え方は、その小説で将棋の場面がでてくれば、生徒に実際に授業中に将棋をやらせる。凧を飛ばす場面が出てくれば、どのようにすればよく飛ぶ凧ができるのか、徹底的に勉強させました。生徒は自分たちで空力学、物理学、天候などを調べ、効率よく飛ぶ凧を作り、誰の凧が良く飛ぶのか、校庭で実際に飛ばして競いました。国語の授業であっても、将棋では相手の心理を読んだり、凧作りでは理科や物理などまさに小説の話を実際に手間暇をかけて、実体験しながら幅広く、深い知識を身に付けていったのです。
その先生のモットーは「すぐ役立つものはすぐ役立たなくなる」でした。現在でも当てはまります。スマホやパソコンもまさにその通りです。実際、次々に新モデルが登場します。保存できる容量が増え、反応のスピードも速くなっていきます。その都度、我々は新モデルに飛びついています。これは「すぐ役立つものはすぐ役立たなくなった」から新商品に飛びつくのです。
つい、20-30年前までは音楽はレコードやカセット・テープで聴きました。レコードはジャケットから盤を出し、拭いたり、プレーヤーにセットし針を落とさねばなりませんでした。大きな他のアンプなどの機器にもコードで繋げなければ音が出ませんでした。カセットテープに録音するにも色々セッティングが必要でした。簡単に聴けるスマホよりはかなり手間をかけていました。その分、1曲1曲への愛着が深く、大切に聴いていました。現在は手軽に聴ける反面、曲も使い捨てで、誰もが知っている曲は無くなってきたようです。
幸い、この数年でレコードやカセットテープの人気が復活したようです。若い人も昔の良さ(実際、レコードの音の方が良い)やあえて手間暇をかける面白さに気が付き始めたのかもしれません。年長者だけのリバイバルだと寂しいですね。
医療の世界では感染症などの「迅速診断」が増えました。短時間で結果が分り、大変有効で「便利」にはなりましたが、あまりにも迅速検査に頼りすぎるあまりに、本来、診断に大切な、患者さんの症状、経過、診察所見をないがしろにする風潮が心配です。診察と検査結果を総合的に判断するのが本当です。
新型コロナで色々な検査法がマスコミにより世間に知られるようになりましたが、どの検査も完璧ではありません。「偽陽性」、「偽陰性」がわずかではあっても出てきます。まだまだ新型コロナの正体は不明な点が多いのです。現在の検査法もすぐに役立つように見えますが、今後も役立つのか、やはり役に立たなくなるのか、今は誰にも分りません。