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毎年、夏風邪の一つであるヘルパンギーナが幼児に流行します。現在も園での感染者が多く、発熱で来院されるお子さんには園でのヘルパンギーナの流行がある、とおっしゃる家庭も多くいます。
小児科医にとっては昔から「夏風邪」の一種として毎年、多くの患者を診てきました。
ヘルパンギーナはコクサッキーウイルスが原因でおもに幼児が感染性します。症状は発熱が3日程度持続し、診断の決め手は口内所見です。
以下の写真の様に、口蓋垂(いわゆる”のどちんこ”)の周囲に白い口内炎が複数見られます(英語版Wikipedia)
これを見つければ、診断は決定です。もちろん、園などでの流行の有無も加味して考えます。
ただし、典型的な「白い口内炎」ばかりがヘルパンギーナではないのです。
下は医師国家試験に出題された写真で、この写真から原因となるウイルスを答える問題でした。
この写真では最初の写真のような白い口内炎はほぼなく、紅い斑点が散見されます。しかしよく見ると、紅い斑点の中に小さな水疱も認めるものもあります。
このように、どちらかの口内所見があれば、ヘルパンギーナと診断します。
余談ですがヘルパンギーナはヘルペス+アンギーナの合成語で、ヘルペスはギリシャ語で元々は這うという意味です。昔、真菌症などの皮膚感染症が皮膚を這うように広がっていった、という
語源があります。それとアンギーナという口峡炎を意味する単語を合成したのです。
さて、熱は3日ほどで解熱しますが、特効薬はありません。中には咽頭痛が強く、食事が進まない場合もあります。この場合はお茶など口腔粘膜に刺激がない飲み物を摂りましょう。
口内の痛みが強い場合は熱がそれほど高くなくても解熱鎮痛剤(カロナールなど)を使用しましょう。
登園の出席停止期間はありません。解熱し、食事も普通に摂れていれば登園可能です(足立区の保育園・幼稚園では保護者が記載する「登園・登校・当室届」がありますので、
足立区のHPからダウンロードし保護者が記載してください)。
原因ウイルスであるコクサッキーウイルスは飛沫感染、接触感染、糞口感染します。つまり、咳やくしゃみ、会話での飛沫を呼吸時に吸う、飛沫が付着した物を触る、乳幼児のオムツの
便の交換時に手や指が接触する、などです。
感染予防はまず、手を石鹸で良く洗い、洗い流す事です。このコクサッキーウイルスはアルコール消毒の効果はあまり期待できません。よく触る場所はハイターなど次亜塩素酸ナトリウムを希釈して消毒しましょう。
このウイルスには現在、インフルエンザやRSウイルスなどの迅速診断検査キットはありません。周囲での流行状況、症状、特に口内の前述の口内炎の有無で診断します。
まず、診断には診察が重要です。発熱や咽頭痛はありますが、決して怖い感染症ではありません。