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1.舌下免疫療法とは
毎年、スギ花粉の季節に鼻炎症状で悩む患者さんが多くいらっしゃいます。
また、ダニによる通年生の鼻炎症状を持つ人もいます。
抗アレルギー薬の内服、点眼、ステロイド薬の点鼻を併用してどうにかスギ花粉の時期を切り抜ける方も多いのですが効果が十分ではない人もいます。
ダニが原因の人には1年間ほぼ毎日抗アレルギー薬を使用している人もいます。
舌下免疫療法とは、免疫反応そのものを抑えよう、という治療です。先日のコラムに「対症療法」と「原因療法」を述べましたが、舌下免疫は「原因療法」と言えます。
2.どういう人に舌下免疫療法が向いているのか
・毎年、スギ花粉症状で仕事や勉強に集中できない(受験勉強が心配)
・ダニアレルギーでほぼ毎日症状がある
・抗アレルギー薬の効果がない、眠くなる
・注射治療や鼻粘膜レーザー治療を避けたい人
3.舌下免疫療法が可能な人
・5歳から64歳までの人(当クリニックでは大人の方も治療可能です)
・スギやダニが検査で陽性
・重症気管支喘息の既往がない
・1分間、薬を舌の下で保持可能な人
・3年以上継続治療可能な方(根気が必要です)
・1,2か月間隔で受診可能な方
・妊娠中ではない方、授乳中ではない方
・悪性腫瘍や免疫の病気がない方
4.治療開始の実際
スギに対する舌下免疫療法の薬は「シダキュア」といいます。最初は低濃度のものを
1週間、2週目以降は濃度を上げたものを継続します。
☆ダニの舌下免疫療法薬(ミティキュア)も低濃度から開始します。
下図を参照してください。
☆シダキュア
☆ミティキュア
5.注意:スギ花粉の「シダキュア」開始時期
シダキュアはスギ花粉が飛散する2月―5月は開始しません。6月以降から秋くらいまでに開始します。
6.ダニに対する「ミティキュア」との併用は
スギ花粉にもダニにもアレルギーがある場合は両者併用が可能です。ただし、スギから開始し1か月後にダニも開始します。併用開始後は朝と夕に分けて使用、問題なければ
夜に5分間隔で使用します。
7.治療開始の流れ
① 検査がまだの方と4,5年受けていない方
スギやダニのアレルギーの有無を調べます。
当クリニックでは、指先からの微量採血で20分後、スギやダニの結果も分る検査が可能です。
☆イムノキャプラピッド検査
②初回はクリニック内で薬を舌下投与、30分様子を見ます。
薬について説明後、下図のように舌の下に薬を置き、そのまま1分間待ちます。1分後つばを飲み込みます。初回はクリニック内で30分間様子を見ます。体調の変化がないか確認します。
③初回投与で大きな症状が無ければ、翌日から6日間は自宅で同じ濃度を続けます。
④内服後は5分間、飲食やうがいは避け、激しい運動も避けます。
⑤2週目の前に再度来院、副作用などの問題なければ濃度を濃くしたものを処方します。以後は同じ濃度を3年以上継続します。
8.シダキュアの効果は?
シダキュアを処方した耳鼻科医へのアンケート結果がありました。
274人に使用した結果です。有効性の評価では「評価している」と「やや評価している」の合計は87%です。「QOLの改善性」、つまり生活の質の改善が約83%になっています。
さらに日本医大での結果では年数が経てば「良い」「少し良い」が増加しています。
9.副作用は?
副作用は舌や口内のしびれや違和感が多いのですが、軽度の場合が多く、治療中止となるような症状は稀です。ごく稀にアナフィラキシーを起こす可能性もあるので、事前に医師から説明を受けましょう。
10.当クリニックでの流れ
舌下免疫療法をご希望の方はお電話で予約をお願いいたします。検査がまだの方、検査後数年以上経過した方は事前に検査が必要ですので、日程などご相談ください。