【夜尿症とは】
夜尿症とは、5歳以上の子どもが月に1回以上、夜間の睡眠中に無意識に排尿してしまう状態を指します。
夜尿症は、成長とともに自然に治るケースが多いですが、中には治療が必要な場合もあります。
お子さんの成長過程でよく見られる症状の一つですが、ご家族にとっては心配な問題でもあるでしょう。
❑医療機関への相談の目安
以下のような場合は、医療機関への相談をおすすめします。
- 5歳を過ぎても月に1回以上の夜尿が続く場合
- 昼間にも尿失禁が見られる場合
- 夜尿以外にも気になる症状がある場合
- 生活習慣の改善や行動療法を試しても改善が見られない場合
❑診断
夜尿症の診断は、問診や尿検査などによって行われます。
- 問診:
- 夜尿の頻度や量、昼間の排尿状況、生活習慣などを詳しくお伺いします。
- 尿検査:
- 尿の成分を調べ、腎臓や膀胱の病気がないかを確認します。
- 排尿日誌:
- 排尿の時間や量を記録していただき、夜間の尿量や膀胱の容量を推定します。
必要に応じて、腹部超音波検査やレントゲン検査などを行うこともあります。
❑原因
夜尿症の原因は、大きく分けて以下の3つが考えられます。
- 夜間の尿量が多い:
- 通常、夜間は抗利尿ホルモン(バソプレシン)の働きで尿量が減りますが、このホルモンの分泌が少ないと、夜間の尿量が多くなり、膀胱に溜まりきれずに漏れてしまうことがあります。
- 膀胱の容量が小さい:
- 膀胱の容量が小さいと、尿を十分に溜めておくことができず、夜間に漏れてしまうことがあります。
- 睡眠が深い:
- 睡眠が深いと、尿意を感じにくくなり、トイレに行く前に漏れてしまうことがあります。
これらの原因以外にも、ストレスや生活習慣、遺伝などが夜尿症に関与することもあります。
❑夜尿症の種類
夜尿症は、原因や症状によって、いくつかの種類に分けられます。
- 単一性夜尿症:
- 合併性夜尿症:
- 昼間にも尿失禁が見られる場合や、便秘、睡眠時無呼吸症候群などの他の症状を伴う場合。
❑治療
夜尿症の治療は、原因や症状に合わせて、以下の方法を組み合わせて行います。
- 生活習慣の改善:
- 夕食後の水分摂取を控える、寝る前に必ずトイレに行く、規則正しい生活を送るなど。
- 行動療法:
- アラーム療法:夜尿を感知してアラームを鳴らす装置を使用し、夜尿の回数を減らすことを目指します。
- 膀胱訓練:日中の排尿を我慢する時間を少しずつ長くすることで、膀胱の容量を大きくすることを目指します。
- 薬物療法:
- 抗利尿ホルモン薬(バソプレシン)や抗コリン薬などを使用し、夜間の尿量を減らしたり、膀胱の働きを調整したりします。
❑家庭でのケア・サポート
夜尿症は、お子さんだけでなく、ご家族にとってもストレスの多い問題です。以下の点に注意して、お子さんをサポートしてあげてください。
- 叱らない:
- 夜尿は、お子さんの意志でコントロールできるものではありません。
叱ったり、責めたりすることは、お子さんの自信をなくし、症状を悪化させる可能性があります。
- 焦らない:
- 夜尿症の治療には時間がかかることがあります。焦らず、根気強く治療を続けることが大切です。
- 褒めてあげる:
- 夜尿がなかった日や、治療に積極的に取り組んでいる姿を褒めてあげることで、お子さんのモチベーションを高めることができます。
- 相談する:
- 一人で悩まずに、医師や専門家、または同じ悩みを持つ家族と相談し、情報を共有しましょう。
❑まとめ
夜尿症は、適切な治療とご家族のサポートによって、必ず改善するものです。一人で悩まずに、医療機関にご相談ください。
参考情報
健康や病気について学べるクリニック
東武スカイツリーライン五反野駅より徒歩2分。
監修 小林 俊一理事長