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腸重積症


ロタウイルスワクチンの接種前に副反応として腸重積症発症の可能性があることを必ず親御さんに説明しています。

注意が必要なのはこの腸重積症はロタウイルスワクチンを飲まなくても発症する可能性があります。日本でこのワクチンの任意接種が始まる前から腸重積症はありました。つまり、ワクチン接種は関係なく発症する可能性があるのです(自然発症)。

  • 腸重積症

腸重積症の頻度は生後3か月から増加し、生後7~9か月がピークです。1歳過ぎても発症することがあります。日本では年間、4千人程度が発症するとされています。

小児科医にとっては最重要な疾患の一つです。僕も何人もの腸重積症を治療しました。1人で当直をする病院もあり、夜中にこの病気の治療を医師1人と看護師さん、放射線技師さんの3人でやったことも何度もあります。

生後数か月から1歳代で血便といえば、真っ先にこの疾患を想定します。簡単に言えば、小腸が大腸の中に入り込んでしまうのです。

残念ながら、なぜこういう状態になってしまうのか、わかっていません。風邪ウイルス感染で腸壁のリンパ節が腫れるからという説、腸管の動き(蠕動)の異常説などがあります。

診断を確定するには肛門にチューブを入れ造影剤を流し、腸の途中で停滞し「カニ爪」という特徴的な造影剤の停滞があれば診断が確定します。

治療はこのまま造影剤を重力の圧で腸の詰まりが解除されれば完了です(整復)。

ただ、発症から24時間以上経過している場合は腸壁への血流が途絶えることによって、腸自体がもろくなっている可能性があり、小児外科医にお願いして開腹手術になる場合もあります。早期に発見できれば、手術が必要なくなる確率が高いのです。

腸重積症では①血便(いちごジャム状)、②不機嫌を反復、③嘔吐を反復、④顔色が悪く元気がない、が主な症状ですが①が最もわかりやすい症状です。血便があれば早めに受診しましょう。

  • 腸重積症とロタウイルスワクチンの関係

国立感染症研究所の研究では、ロタウイルスワクチン導入の前後では腸重積症の発症率に統計学的な差はない、としています。つまり、接種してもしなくても生後3か月ころから腸重積症の頻度が増えてくるのです。

以前のコラムでも述べましたが、ロタウイルスワクチンには2種類、ロタリックスとロタテックがあり、どちらも生後6週から14週6日までに1回目を済ませるようにとなっています。他のワクチンとの同時接種を考えれば生後2か月になった時点が良いでしょう。

腸重積症の「自然発症」は生後3か月以降に増えるのでその前に1回目の接種をすれば、万一、腸重積症が発症した場合、ワクチンが原因である可能性が高まります。

ワクチンが原因とすれば、飲んで1週間前後での発症が多いとされています。1回目の方が2回目、3回目(ロタテックの場合)よりも頻度が高いようです。

  • ロタウイルスワクチンのメリット

ロタウイルスに感染した場合の嘔吐、下痢、脱水症での点滴、入院になった場合の本人や家族の負担、園などで集団感染した場合の社会的負担を防ぐという点でワクチンのメリットは大きいでしょう。昨年秋からロタウイルスワクチンは定期化(無料接種)となり、家族の経済的負担も減りました。

☆腸重積症まとめ

・自然発症でも生後3か月以降から増える(原因はロタウイルスワクチンだけではない)

・血便(いちごジャム状)が最もわかりやすい症状

・早く見つかれば、手術せずに治せる

・ロタウイルスワクチン接種後1週間前後は血便などの症状に注意しておく

・ロタウイルスワクチン初回は生後2か月になったら早めに接種を(他ワクチンも同時に)

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