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酸素濃度を測ろう


時々、ニュースなどでコロナ患者の血中酸素濃度が話題になります。自宅療養中の方の酸素濃度が低い事に気が付かなかった、看護師に送られてくる画像の数値を心拍数の方を見てしまい、実は酸素濃度は低かった、など。こういうニュースもありますが、この酸素濃度測定は大変有用です。

コロナ患者では肺炎合併の有無が大きな問題点です。

人間は口や鼻から空気を吸い、気管支を通って気管支の末端にある肺胞という小さな風船に達します。肺胞に接して通る毛細血管から「息で吸った酸素(O2)を吸収」し、血液中に溜まった「二酸化炭素(CO2)を肺胞に放って、吐く息(呼気)で空気中に出して」います。簡単に言えば、呼吸によって、血液中に酸素を吸収し、血液中の二酸化炭素を排出しています(ガス交換)。

 

普段の何気ない呼吸のたびに、こういう「作業」が延々と行われているのです。肺炎になるとその炎症で気管支や肺胞に障害がおきると、うまく酸素を血液に取り入れたり、二酸化炭素を血液中から放出することができません。血液中の酸素が低下し、二酸化炭素が溜まっていきます。

☆酸素濃度は寒痰に測定できます

病院でなくても、自宅で簡単に酸素濃度が測定できます。下の写真のように指を挟むと、酸素濃度と心拍数が数秒で表示されます。こういう測定器を「パルス・オキシメーター」と呼んでいます。写真では下の大きな数字が酸素濃度で98%、上の小さな数字72が1分間の心拍数です。

 

咳がひどかったり、喘息発作で受診した時、指で酸素濃度を測定した人もいるでしょう。

写真はほんの一例で、各メーカーから多数販売され、一般家庭でも通販で購入可能です。1個3千円程度のものもありますが、あまり安価だと信頼性に劣るかもしれません。

一家に1個、所有しておけば、咳や息苦しい時に酸素濃度を測定し、酸素濃度が95%以下であれば、肺炎や喘息発作の可能性があり、早めに受診をした方がいいでしょう。症状が無い時でも測定し、普段の酸素濃度を知っておくのも良いでしょう。

☆パルス・オキシメーターの仕組み

やや専門的な知識になりますが、指に挟むと上部(受光源)から「赤色の光(赤色LED)」と「赤色ではない光(赤外LED)」が出て、指の動脈を通過し、下のセンサー(受光素子)に到達します。

 

例えになりますが、酸素をいっぱいもった赤血球は赤色光が当たっても、「もう赤はいらない!」と赤色光を受け取らず、通過させ、赤色光はそのまま受光素子に到達します。酸素が少なく、赤色が少ない赤血球は赤い光を欲しがって吸収してしまい、その分、受光素子に到達する赤色光は少なくなります。赤外光は赤血球の酸素量に無関係に赤血球を素通りし受光素子に到達します。この受光素子に到達した赤外光の量を100として、受光素子に到達した赤色光がどれくらいの量かを%にしたのです。

☆応用

外来に「苦しい」という訴えで受診する小児がいます。幼児や小学校低学年ではうまく表現できず、僕らも「苦しい」という訴えがどこから来るのか、考えます。

肺炎、気管支炎では熱があったり、咳がひどかったり、喘息発作ではヒューヒューが聞こえたり、肩で息をするような呼吸困難があるのではすが、こういう症状がなく、聴診でも雑音がない場合で親御さんは心配します。

そこで、このパルス・オキシメーターを指に挟んで、測定してみます。値が97-99%もあれば心配ありません。この数字を見てもらい、「空気の通り道に問題はないですね」とお話すれば、安心してくれます。肺炎や気管支炎、喘息発作でもない。「心が苦しい」可能性も考えてしまいます。

喘息や喘息気味の人がいる家庭では1つ持っていてもいいかもしれません。

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