◎はじめに
3歳児検尿・学校検尿は腎臓病を早期発見する目的で全国的に行われています。そのため、学校から「検尿の結果、再検査が必要です」という通知が届くと、多くの保護者様は驚き、不安を感じられることと思います。
しかし、大切なのは、その結果が「一時的なもの」なのか、それとも「治療が必要な病気のサイン」なのかを正しく判断することです。
五反野皮ふ・こどもクリニックでは、お子様とご家族の不安に寄り添いながら、専門的な視点で健やかな成長をサポートいたします。
◎「血尿・蛋白尿とは?」
尿検査で指摘される主な項目は「血尿」と「蛋白尿」の2つです。
- 血尿(けつにょう): 尿の中に血液が混じっている状態です。見た目でわかる「肉眼的血尿」と、検査で判明する「顕微鏡的血尿」があります。
- 蛋白尿(たんぱくにょう): 本来は尿にあまり含まれない「蛋白(タンパク質)」が出ている状態です。
血尿と蛋白尿の両方が同時に持続する場合、腎炎などの腎臓病の可能性があります。
その他、尿の中の白血球や糖の検査も行われる場合があります。
◎「症状の特徴」
血尿や蛋白尿の多くは、検尿以外では気づきにくい「無症状」であることがほとんどです。
しかし、程度が強くなると以下のようなサインが現れることがあります。
- 血尿: 尿の色が血液そのものや、ウイスキー・コーラのような見た目になります。
- 蛋白尿: まぶたや足のむくみ、急な体重増加などがみられることがあります。
◎「血尿・蛋白尿が起こる原因」
お子様の場合、以下のような多岐にわたる原因が考えられます。
- 糸球体腎炎: IgA腎症や、溶連菌感染後糸球体腎炎など、腎臓のフィルター部分の炎症です。
- ネフローゼ症候群: 腎臓のフィルター部分から蛋白が漏れる病気です。
- 先天的要因: 先天性腎尿路異常、尿路感染症、尿路結石、外傷後などが挙げられます。
- 遺伝的要因: 家族性血尿やアルポート症候群などが関連することもあります。
- 生理的要因: 発熱時や激しい運動後の「一時的」なものです。
◎「血尿・蛋白尿の種類」
検査の結果は、大きく「一時的なもの」と「持続的なもの」に分けられます。
- 一時的: 運動後や発熱時に見られ、原因がなくなれば自然に消えることが多いです。
- 持続的(要注意): 繰り返し検査で陽性が出る場合で、腎臓などに何らかの病気がある可能性があります。
※豆知識:なぜ「朝一番の尿」が必要なの?
学校検尿で「夜寝る前にトイレに行き、朝一番の尿」で検査を行うのは、日中の運動や起立による一時的な要因をできるだけ取り除くためです。
◎「血尿・蛋白尿の発生部位ごとの特徴」
どこから出血や蛋白の漏出が起きているかによって、特徴が異なります。
- 腎臓: 血尿・蛋白尿のいずれも出ることがあり、腎炎などの病気が背景にある可能性があります。
- 尿管・膀胱: 出血や感染があると、血尿が出ることがあります。
- 尿道: 外傷や刺激による出血で血尿となる場合があります。
◎「血尿・蛋白尿を引き起こす主な疾患」
小児科の診療で見られる主な疾患は以下の通りです。
- 溶連菌感染後糸球体腎炎: 溶連菌感染の3週間前後で血尿、蛋白尿、頭痛、尿が少ないなどの症状が現れます。
- IgA腎症: 慢性腎炎の最多原因です。感冒罹患後数日で肉眼的血尿をきたしやすい特徴があります。
- ネフローゼ症候群: 大量の蛋白が尿に漏れ出し、体や内臓のむくみ、尿の減少が現れます。
- 膀胱炎: 残尿感や頻尿が特徴です。
- 良性のもの: 運動性血尿(激しい運動後)や、家族性血尿、体位性蛋白尿(起立性蛋白尿)などがあります。
◎「受診をした方が良い場合は?」
以下のようなサインがある場合は、早めに小児科を受診しましょう。
- 血尿や蛋白尿が複数回の検査で続いている。
- むくみとともに発熱や腹痛がある。
- 尿の色が赤い、またはウイスキー・コーラのような色をしている。
◎「どのような検査が必要で、何を調べる?」
当院では、原因を特定するために以下のような検査を行うことがあります。
- 尿検査・尿沈渣: 蛋白や血液の量を確認し、顕微鏡で尿中の成分を詳しく観察します。
- 血液検査: 腎機能(クレアチニン・尿素窒素)や免疫反応に関係する項目を確認します。
- その他: 必要に応じて、専門施設での超音波検査、腎生検を検討します。
◎「どのような診断と治療が行われるの? 」
検査結果に基づき、以下の治療方針をとります。
- 軽度の血尿のみ: 腎炎などの可能性を考え、定期的に尿検査を行います。
- 軽度の蛋白尿のみ: 体位性蛋白尿であれば、定期的な受診は必要ありません。
- 血尿・蛋白尿が同時の場合: 腎炎の可能性が高いため、精密検査を行います。腎炎の種類に応じて治療が行われます。
◎「どのような診察が行われるの?」
診察室では、以下の点を確認します。
- 問診: これまでの尿検査の結果やご家庭での尿の色、腎臓病の家族歴などを確認します。
- 身体診察: むくみの有無、血圧のチェック、聴診や触診を行います。
- 再検査: 必要に応じて再度、尿検査や血液検査、画像検査を行います。
◎「最後に…」
血尿・蛋白尿はお子さんの腎臓からの「大切なメッセージ」です。もちろん一時的な変化であることも多く、心配しすぎる必要はありませんが、定期的な受診によって隠れている病気を早期に発見できる可能性があります。早期に気づいて適切な対応をすることで、お子様の健康を守ることができますので、気になることがあれば遠慮なくご相談ください。