◎はじめに
お子様の肌に突然、蚊に刺されたような赤い盛り上がりが広がり、驚かれた経験はありませんか?「さっき食べたもののせい?」「どこか具合が悪いの?」と不安になりますよね。
蕁麻疹は子供によく見られる症状ですが、その原因は食べ物だけでなく、風邪などの感染症や体調不良、さらには寒暖差など多岐にわたります。五反野皮ふ・こどもクリニックでは、皮膚科と小児科の両面から、蕁麻疹の「火消し」だけでなく、その背景にある体調やアレルギーについても丁寧に診察いたします。
◎「蕁麻疹(じんましん)とは?」
蕁麻疹とは、皮膚の一部が突然赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、強いかゆみを伴う病気です。
皮膚の深いところにある「マスト細胞」からヒスタミンという物質が放出され、血管が膨らみ、血管から水分が漏れ出すことで起こります。最大の特徴は、数十分から数時間以内に跡形もなく消えてしまうことです。場所を移動しながら出たり消えたりを繰り返すこともありますが、個々の発疹が24時間以上同じ場所に留まることは稀です。
◎「症状の特徴」
お子様の蕁麻疹には、以下のような特徴が見られます。
- 見た目: 数ミリ程度の小さなものから、地図のように大きく広がるものまで様々です。
- かゆみ: 非常に強いかゆみを伴うことが多く、お子様がイライラしたり、夜眠れなくなったりすることがあります。
- 移動性: 右腕に出ていたと思ったら、数時間後にはお腹に出ているというように、場所を変えて現れます。
◎「蕁麻疹が起こる原因」
- 感染症、ストレス: 実はお子様で最も多い原因の一つです。風邪のウイルスや細菌に感染した際、体内の免疫反応として蕁麻疹が出ることがあります。
- 食物アレルギー: 卵、牛乳、小麦など、特定の食べ物を摂取した後に起こります。食後数分から2時間以内に出ることが一般的です。蕁麻疹に加えて、ゼーゼーする(喘鳴)、咳き込む、嘔吐、腹痛、ぐったりするといった「皮膚以外の症状」がみられる場合は、速やかな病院受診が必要です。
- 物理的刺激: 皮膚を強く擦る、寒冷(冷たい風や水)、温熱(お風呂上がり)、日光などが刺激となります。
- 薬剤: 抗生剤や解熱剤などの服用後に現れることがあります。
◎「蕁麻疹の種類」
経過の長さによって大きく2つに分けられます。
- 急性蕁麻疹: 発症して6週間以内のものです。お子様の蕁麻疹の多くはこちらに該当し、多くは数日から1〜2週間で治まります。
- 慢性蕁麻疹: 6週間以上、毎日あるいは断続的に続くものです。原因の特定が難しく、根気強い治療が必要になることがあります。
◎「蕁麻疹を和らげるために自分でできる対処法は?」
受診までの間、以下の方法でお子様の不快感を和らげてあげましょう。
- 冷やす: 痒みが強い部位を冷たいタオルなどで冷やすと、血管が収縮し、ヒスタミンの放出が抑えられて痒みが和らぎます。
- 温めない: お風呂での長湯や激しい運動は、血流を良くして蕁麻疹を悪化させます。症状があるうちはシャワー程度にとどめましょう。
- 刺激を避ける: 患部を掻くとさらに広がります。爪を短く切り、ゆったりとした綿素材の服を着せてあげてください。
◎「受診をした方が良い場合は?」
以下の場合は、迷わず受診(夜間・休日の場合は救急外来)してください。
- 息苦しそうにしている、ゼーゼーしている。
- 繰り返し吐いている、強い腹痛を訴えている。
- 顔色が悪い、ぐったりしている、意識がぼんやりしている。
- 喉の奥が腫れている感じがする。
これらはアナフィラキシーのサインです。
◎「どのような検査が必要で、何を調べる?」
- 問診: 「何を食べたか」「体調はどうだったか」「直前の活動(運動や入浴)」などを詳しく伺います。
- 血液検査(特異的IgE抗体): 食物アレルギーが疑われる場合に行います。
- 原因食物の負荷試験: 必要に応じて専門病院と連携し、実際に食べてみて反応を確認することがあります。
◎「どのような治療が行われるの?」
- 抗ヒスタミン薬の内服: 治療の基本です。ヒスタミンの働きをブロックするお薬を処方します。抗ヒスタミン薬のみで改善しない蕁麻疹の場合は、抗ヒスタミン薬の増量や異なる種類の内服薬を処方します。
- 原因の回避: 食べ物や薬剤が原因と分かった場合は、予防や治療の指導を行います。
- アドレナリン自己注射(エピペン): 食物アレルギーによるアナフィラキシーのリスクが高いお子様には、緊急時のためのお薬を処方・指導します。
◎「どのような診察が行われるの?」
- 皮膚の確認: 湿疹ではなく「蕁麻疹」であるか、全身を丁寧に診察します。
- 全身状態のチェック: 胸の音を聴き、呼吸に異常がないか、血圧や心拍数に乱れがないかを確認します。
- 経過の聞き取り: 以前にも同じようなことがなかったか、家族にアレルギー疾患があるかなどを伺います。
◎「最後に…」
蕁麻疹は、お子様の体が発している「何らかのサイン」です。その多くは一時的なものですが、中には重大なアレルギーが隠れていることもあります。
五反野皮ふ・こどもクリニックでは、今出ているかゆみを止めることはもちろん、「なぜ出たのか?」という親御様の疑問に小児科医・皮膚科医の視点から誠実にお答えします。突然の症状に驚かれたときは、まずはお子様を落ち着かせ、当院までお気軽にご相談ください。