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「くすりの種類」


薬を処方する時、小児科と大人との違いの一つは子供の処方には投与量の計算が必要なことです。

小児の薬は体重や年齢から1日分の投与量を決めます。このため、小児科では必ず診察に年齢、体重の確認が必要です。うっかり1年前と同じ薬をそのまま量も同じで処方すると子供の体重は1年前より増えているので体重あたりの薬の量が少なくなってしまいます。年齢、体重を確認する重要性は他にもあり、体重が増えていないことに気づいたり、発達の問題を発見する場合もあることです。

小児科医は色々な薬の投与量を覚えています。大人では錠剤を「1日3錠」など比較的簡単に処方できるので「小児科と比べると処方が楽だなあ」と羨ましく思った事もありますが、色々な薬を体重や年齢による投与量を覚えているのは小児科医の自慢でもあります。でも大人は合併症も多く、大人の処方も大変ですね。

具体的には子供さんの年齢、体重を確認し「体重12Kgだからこの薬は1日量が1.2グラム」や「6歳だからこのアレルギー薬は1日量は2.0グラム」などと確認しながら処方箋に記載します。ただ、新薬の開発で毎年新しい薬がいくつも出てきます。医者も新薬の効果、副作用をよく確認の上、処方しますが、医者にとっては新薬の名前や投与量も新たに覚える必要があるので、覚えきれないのが現状です。もちろん、間違いがないよう、確認しています。また、後発品(ジェネリック製品)がこの何年かで多く出現し、後述する剤型の種類も増えています。

小児科での処方は子供さんによって「剤型」を選ぶ必要があるのも特徴です。大きく分けて、シロップ、粉薬、錠剤があります。シロップは液体なので飲みやすく、乳幼児に向いています。中には小学校高学年でもシロップを希望される人がいますが、体重が増えれば飲む量も増えるので返って飲みづらい場合もあります。シロップは長期間の保存には向かず、短期間で飲み切る方が良いとされています。

粉薬はそのまま内服しても、水などに溶かしても良いのですが、嫌がる小さいお子さんの場合は少量のお水で団子状にこねてからほっぺの内側に付けてあげたり、薬局で売っているような内服用ゼリーにくるんで試すのも良いでしょう。粉薬をお水に溶かせたものを製氷トレーで凍らせて、口に入れてあげる方法もあります。

粉薬の種類には「ドライ・シロップ」という剤型もあります。これは外見上は粉ですが、簡単に水に溶けます。「最初は乾いた(ドライ)粉だが、家で液体(シロップ)にできますよ」という意味です。溶かさずにそのまま飲んでもいいですし、溶かしてから飲んでもOKなのです。

錠剤もOD錠(口腔内崩壊錠)という口のなかで自然に溶けるタイプも増えてきました。飲み込む必要がないので、希望されるかたも多いのです。

坐薬はお尻に挿入する薬で、乳幼児の発熱時に熱さまし(解熱剤)で使う場合が多いです。よく、「坐薬と飲み薬はどちらのほうが効果がありますか」、という質問があります。どちらでもOKです。坐薬を嫌がるお子さんには内服を、飲みたがらないお子さんには坐薬で大丈夫です。本人の好み、あるいはご両親の使いやすい方でいいのです。

昔と比べると、小児用の薬も味が良くなって飲みやすくなったのか、「うちの子は全く薬を飲んでくれません」という苦労話を聞くことは減りましたが、それでも薬を嫌がるお子さんはいます。せっかく色々な種類の剤型があるので、普段、飲ませ方に苦労している場合は医師に相談してみましょう。余談ですが、まだ3歳なのにお兄ちゃんが錠剤を飲んでいるのを見て「自分も“つぶの薬”がいい」というお子さんもいらっしゃいます。このように年齢的に実際は内服が無理な場合もあります。

このように、今は患者さんが飲みやすいように工夫された薬がありますので、どの剤型が本人に合っているか、合わないのか、本人・家族の状態・要望を踏まえ、考えて処方します。

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