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アデノ・ウイルス


世の中はウイルスと言えばコロナになっていますが、ウイルスの種類は無数にあります。

新型コロナ以前から保育園や小学校では子供たちを預かる責任上、感染症流行に敏感になっています。

今回はその中でアデノ・ウイルスを取り上げてみます。

 

1.アデノ・ウイルスの名前

Adenoはギリシャ語で「どんぐり」や「腺」の意味らしいです。1953年に「どんぐり」のように腫れた扁桃腺からこのウイルスが発見されたのです。

2.51種類もある

このウイルスは何と51種類もあり、型によって出る症状が違います。「斎藤」や「鈴木」という苗字は全国多く存在しますが、同じ姓でも職業が違うようなものですね。

3.種類別の疾患

このウイルスの種類は「血清型」で分類され、その型によって症状が異なり、疾患名も変わります。

単純に「アデノ・ウイルス」といっても大切なのは疾患名なのです。

 

4.症状

上の表のように型によって症状は「咽頭炎」、「胃腸炎」、「膀胱炎」、そして「結膜炎」など多種多様です。

①「咽頭炎」は熱や咽頭痛があり、溶連菌感染症との鑑別で迅速検査を行うことがあります。

②「咽頭結膜熱」は「プール熱」といわれ、夏風邪の一種です。プールの水を介して感染しますが熱、咽頭発赤の他、「結膜炎」があるのが特徴です。診断されれば「学校保健安全法」で

症状が消えてから2日間は登園登校はできません。

③「流行性角結膜炎」は「はやり目」と言われ、結膜(白目)が充血し、目やに、流涙があります。瞼(まぶた)も腫れます。目の症状がメインなので、早めの眼科受診が必要です。「学

校保健安全法」で登園登校許可には「医師の判断」が必要です。

④「胃腸炎」は発熱、下痢、嘔吐を伴います。このウイルスにはアルコールは効果がなく、次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターなど)での消毒が必要です。

5.迅速検査

アデノ・ウイルスは迅速検査が可能なウイルスです。

迅速検査キットは各社から出ていますが、ど精度に差はありません。しかし、迅速検査では、詳しい「型」までは分かりません。アデノ・ウイルスが陽性か陰性しか分からないのです。

陽性であれば、眼症状などの有無で診断名を判断します。

下の写真では、Tの上に黒色の線が出ていますので「陽性」です。

6.検査は簡単にできますが。。

迅速検査は色々な感染症で可能となりました。反面、何でも検査に頼りすぎる風潮もあります。経過、症状、診察、周囲の感染流行状況を総合的に考慮して、「必要なら」検査をするのが本筋です。「保育園なで検査をするように言われたので来ました」というのは「最初に検査ありき」、です。もちろん、保育園側には感染流行の心配、親御さんには園に預けなくてはいけない事情があります。しかし、押さえつけられながら、喉(ノド)に綿棒を入れられたり、瞼(まぶた)の裏に綿棒を入れての検査は負担にもなります。検査が必要かどうか、良く考える必要があります。

7.アデノ・ウイルスへの直接的な治療法はない

アデノ・ウイルスをやっつける薬はありません。咽頭炎なら熱への解熱剤、胃腸炎なら整腸剤など、プール熱やはやり目の眼症状には点眼薬です。

8.必要なのは登園・登校が可能か

4.で述べたように、「プール熱」、「はやり目」の診断では「学校保健安全法」の決まりで園や学校は休まなければなりません。この両者は「目の症状」がありますので、診断は「診察

だけで」可能でもあります。検査も必要に応じ(園や親御さんの希望もあるでしょう。。)行います。

他の咽頭炎や胃腸炎も検査で陽性となっても、症状が改善すれば登園登校は可能ですが、念のため、目の症状が出てこないか、経過をみましょう。

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