足立区で皮膚科・小児科なら五反野皮ふ・こどもクリニック|土日診療

〒120-0011 東京都足立区中央本町2-26-13 サミット五反野店3階

Web予約

MENU

ブログ

Blog

小児の異物誤飲、実際の例


先日のコラムに「小児の異物誤飲」について述べましたが、今回は私が実際に経験した例をいくつか載せたいと思います。例を挙げれば現実味があり、小さいお子さんを持つ皆さんへの注意喚起になれば、と思います。

  • 「百円玉を飲み込んで、食道に止まった」

4歳くらいの男の子でした。百円玉を飲み込んだ、とのことで来院。レントゲンでは食道の途中にコインが写っています。食道は胃袋までつながっていますが、食道狭窄部というやや狭くなっている部位にコインが止まっていたのです。小児外科の先生に相談し、バルーンカテーテルという先端に風船が付いている細いチューブを風船を閉じた状態で鼻から挿入。カテーテルの先端の閉じたバルーンがコインを行き過ぎたところでバルーンを膨らませ、コインをバルーンに引っ掛けてカテーテルを抜いていきます。口の中に戻ってきたコインをピンセットで口から取り出しました。

  • 「年齢が高いのに誤飲?」

・夜間救急に「10歳の男子がお母さんの指輪を飲んだので受診します」。という連絡がありました。10歳という年齢では異物誤飲は考えにくいので、来院時にお母さんに状況を尋ねました。その男の子はソファーに上向きに寝っ転がり、お母さんが買ったばかりの高級(?)指輪を手にもって顔の前で見ていたのですが、うっかり手から放してしまい、ちょうど口の中に落ちて驚いて飲み込んでしまったのでした。レントゲンでは輝く?指輪が胃袋に写っていました。

・何年か後、やはり異物誤嚥は考えにくい8歳の女の子が百円玉を飲んだ、と来院しました。百円玉をお父さんにお使いのご褒美としてもらったので、うれしくてソファーに寝っ転がりながら手で持っていじっていたら誤って口の中に落としてしまったのです。

異物誤飲をするような年齢になっても思わぬことで異物誤飲になってしまうことがあるのです。

  • 「コインとその他にも。。」

ある日の夕方、3歳くらいの男の子が10円玉を飲んだとのことで、受診しました。レントゲンを撮ると、確かに胃袋にコインが確認できます。しかし、直腸(肛門直前の腸)に丸い影がうっすらと写っています。お母さんに「コインは確かに胃にありますが、お尻の穴近くのこの丸いのは何でしょうかね?」と尋ねました。すると、お母さんは「それはビー玉です。。ビー玉はいつも飲んでいるので心配しなかったのですが、コインは初めてなので病院に来ました」と。おそらく、その男の子は時々、ビー玉を誤飲し、そのたびに便と一緒に出てくるので、お母さんも変に慣れてしまってビー玉については飲んでも「何ともない」と勘違いしてしまったのでしょう。しかし、気道に入り込んで窒息になる可能性があります。お母さんには厳重に注意しました。

  • 「腸閉塞の原因は」

ある幼児が腸閉塞で入院、緊急手術になった例がありました。原因は家族が使っていた体に貼って肩こりなどを治す小さい磁石でした。この磁石を多数飲み込んだので、腸と腸が腸の壁を介して複数の磁石がくっついて腸閉塞をおこしたのでした。思わぬものが命にかかわる状態を起こしてしまいます。

  • 「歯の歯列矯正ワイヤーが」

夜間救急に中学生の女の子が歯列矯正中で、そのワイヤを飲み込んでしまった、と受診しました。レントゲンを撮ると、胃袋に2-3cmのワイヤーが写っていました。2日後、便と一緒に排出されましたが、その2週間後くらい後、別の女子がやはり、歯列矯正ワイヤーを飲み込んでしまった、と受診しました。

このように、小児の異物誤飲というのは医者でさえ想像がつかないことが多いのです。少しでもこういう事故が減ればよいと思います。

pagetop