足立区で皮膚科・小児科なら五反野皮ふ・こどもクリニック|土日診療

〒120-0011 東京都足立区中央本町2-26-13 サミット五反野店3階

Web予約

MENU

ブログ

Blog

赤ちゃんの嘔吐


赤ちゃんは授乳中や授乳後に嘔吐することが多いものです。

僕の上司は「赤ちゃんというのは、吐きやすいものだよ」とお母さんに説明していました。もちろん、胃腸炎やほかの病気がないか、診察で確認してからの説明です。

大人はお腹いっぱい飲んだり食べたりしても嘔吐はしませんし、逆立ちしても胃の内容物が口から出てくることはまずありません。これは食道と胃の接合部の筋肉が大人はしっかりとし、栓の役目をはたし、さらには食道と胃上部の接合部が鋭角になっていて(His角)さらに栓がきつくなるようになっています。

 

下図のように、胃と食道を風船とストローに例えました。風船を膨らませる口にストローを刺したイメージです。

赤ちゃんは授乳時、空気も一緒に飲んでいるので、さらに胃は膨れます。そうなれば、胃内の圧は逃げ道として、栓のゆるい食道に向かいます。これが赤ちゃんが吐きやすい理由です。

 

1)溢乳(いつにゅう)と吐乳(とにゅう)

溢乳と吐乳はどちらも口から母乳やミルクが出てくるのですが、前者は口の横からタラ~とジワジワ出てくる、後者はいきなりドバっと出てくるイメージです。どちらも赤ちゃんの吐きやすさが原因です。

2)対策

    • 病気ではないので、様子見で大丈夫です。工夫は、授乳後はしばらく、縦抱きにし、揺らさずに背中を軽くたたきながら、ゲップを誘います。胃内の空気を逃がして圧を下げてあげます。坐位はお腹を圧迫し、嘔吐しやすくなります。
    • 嘔吐回数が多いなら、①もやりながら、1回の授乳量をいつもの7-8割くらいに減らし、回数を増やす方法もあります。

ミルク(人工乳)に「とろみ」をつける「ライスシリアル」を加える方法もあります。

3)体重減少の有無に注意

心配なら乳児用体重計があるクリニックや保健センターで正確に体重測定しましょう。裸で測定するのが大切です。

4)気を付けたい嘔吐

乳幼児の嘔吐は発熱や下痢が伴えばウイルス性胃腸炎が最も考えられます。ロタウイルスやノロウイルスが原因の可能性があります。

以下は「嘔吐」だけが目立つ疾患に限定しました。

①先天性肥厚性幽門狭窄症

生後2,3週から3か月頃までのやや限定された期間に噴水状の嘔吐がみられます。胃から十二指腸への出口である「幽門の筋層」が肥厚し、ミルクが胃から先に進まず胃内に溜まります。この「噴水状の嘔吐」が最も特徴的です。まるでクジラの潮吹きのように、「ピュー」と噴出するイメージです。栄養が胃から進まないので体重も減少します。男子、それも長男に多い傾向があります。噴水状嘔吐があれば、早めに受診しましょう。診察で疑いがあれば大きな病院で超音波検査などを行います。

②胃軸捻転症

上記の先天性肥厚性幽門狭窄症よりは頻度が低いのですが、嘔吐の反復と腹部膨満が特徴的です。胃は「縦長の袋」で、上は食道、下は十二指腸につながっています。しかし、

宙ぶらりんではなく、下図左のように、大網や小網などの組織で固定されています。

 

ちょうど、木の枝の蜘蛛の巣の上で、蛛がじっと止まっている感じです。

胃軸捻転では大網や小網など胃を固定している組織がゆるいのです。体動などで胃が回転してしまいます。蜘蛛の巣の枝にくっついている部分が何か所が外れ、風にゆらされて蜘蛛の巣が蜘蛛を中心に反転するイメージです。

やや詳しくなりますが、下記の様に胃が左右に回転する「長軸捻転」と上下に回転する「短軸回転」があります。長軸型タイプの頻度が多いのです。いづれも、飲んだミルクは嘔吐しますが、空気は腸に流れます。

 

歩行頻度が増える1歳以降に自然に改善しますが、場合によっては手術となる事があります。

最後に、嘔吐があれば、まずは受診をお勧めします。体重も測ってみましょう。

pagetop