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BCGワクチン


定期予防接種の中に、BCG生ワクチンがあります。

  1. BCGって何の略でしょうか?

BCGはフランス人のカルメット(Calmette)とゲラン(Guérin)した杆菌(Baccille)で、結核菌に対する予防接種(生ワクチン)として使われています。

2.結核はこの時代、まだあるのでしょうか?

結核は「古くて新しい感染症」ともいわれています。かつては「国民病」といわれた時期もありました。現在、お子さんを育てている世代にはピンとこないかもしれません。実は日本においては今でも年に1万5千人の新規結核患者が出ています。

まだ20年くらい前ですが、保健所から子供たちの結核検査を依頼をされたことが数回ありました。まだ30歳前後だった学校の先生が結核と判明し、その先生のクラスの生徒が多数、検査に訪れたこともありました。僕自身も「まだ、結核ってあるんだ」と身に染みて感じました。

3.赤ちゃんにBCGを接種する意味は?

現在は定期接種で1回接種します。「生後5か月から生後8か月になるまで」が標準接種期間で、1歳の誕生日の前日までが無料接種が受けられます。実は2003年度までは乳児期にまずツベルクリンの皮内反応(ツ反)を行い、2日後、陰性を確認の上、BCGを接種。小学1年でさらにツ反を行い、陰性者(乳児期のBCGが無効という判断)は2度目のBCG、小学2年でもツ反を行い、まだ陰性の人は3度目のBCGを打ち、さらに中1でもツ半、なおも陰性であればBCG、中2でもツベルクリン陰性ならまたBCGを打ちました。中には最高5回BCGを打つ人もいたのです。 それを考えれば、今は乳児期にツ反をせず、BCGを1回のみ、とかなり簡素化されました。 僕自身、小学1年の記憶だと思いますが、小学校の講堂でツ反を受けた覚えがあります。。

BCG接種で結核発症は52-74%予防可能と厚労省はしています。ただし、乳児期のBCG接種の大きな意味は、結核菌による髄膜炎や結核菌が全身に周る重篤な疾患を防ぐことにもあり、このような重症疾患はBCGで64-78%予防できるとしています。

4.BCG接種は「ハンコ注射」

BCGの接種方法は「ハンコ注射」といわれ、一風変わっています。

写真のように「管針」という道具を使います。先に9個の針が付いています(一見、怖そうですね)。

接種する場所は「左上腕外側」と決まっています。ただし、この部位にアトピー性皮膚炎があるなどで右上腕に接種する場合も稀にあります。

下図のように、接種部位にBCGワクチンの液を左上腕中央に数滴たらします。この際、上腕を水平に保持しないと薬液が流れるので注意します。薬液を管針のツバで長方形型にならし、その後、

管針を垂直に2回場所をずらせて押し付けます。

接種後、薬液が乾燥するまで触らずに「自然乾燥」するまで院内でお待ちください。

接種前にあらかじめ衣類は左肩が露出するようにしておきます。お兄ちゃんやお姉さんが一緒に来る場合は、赤ちゃんに触れないよう注意をお願いします。

5.BCG接種部位の変化

通常では、下の写真のように、接種後4週後から6週後頃まで接種部位の針跡が白く、周囲が赤くなります。

 

 

6.コッホ現象とは?

ごくまれに、接種後2,3日で接種部位の針跡が目立つ、発赤が強いなどが見られる場合があります(下の写真を参照)。これを「コッホ現象」と呼び、すでに結核に感染している可能性がある、とされています。実際は結核ではないことがほとんどですが、こういう反応が出た場合は、すみやかに、接種した医療機関に必ずご相談ください。

7.コロナウイルスとBCG

日本人は全員BCG接種をするので、コロナ感染者が欧米より少ないのでは、という話題がありました。そうであれば、普段BCG接種を行う小児科医には嬉しいのですが、まだまだ真相は不明です。

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