ロタウイルスは乳幼児に胃腸炎をおこす重要な原因ウイルスです。
赤ちゃんから5,6歳までの乳幼児に冬から春先に流行します。小学校前までに半数が感染するといわれています。
感染すると、嘔吐、下痢(白色の事あり)、腹痛、発熱をきたします。嘔吐、下痢の頻度が多かったり、水分摂取量が少ないと脱水症で入院や点滴が必要となる場合があります。
このウイルスは形が車輪(ラテン語でロタ)のように見えるのでロタウイルスと命名されました。
乳幼児は原因が何であれ、脱水症が最も危険です。乳幼児に激しい胃腸炎を起こすこのロタウイルスの嫌な点は非常に感染力が強く、保育園や幼稚園、きょうだいの間で感染が拡大します。
ロタウイルスワクチンは2020年8月1日以降に出生したお子さんには定期接種となり、無料で接種をうけられるようになりました。それまでは任意接種(自費)で、家族の負担もあったのですが、定期接種化でより多くの赤ちゃんにうけてもらえるようになりました。保護者や医者にとっては非常にありがたい制度なのです。
ロタウイルスワクチンは非常に有効なワクチンですが、注意事項があります。
下記の表も参考にしてください。
- 商品名で「ロタリックス」と「ロタテック」の2種類があります。初回接種時の予約の際、どちらを選択するか病院・クリニックにお伝えください。後述のように当クリニックでは「ロタテック」をお勧めしています。どちらか一方のみ扱っている施設があります。
- 含まれるロタウイルスの血清型の種類は1種類(1価)と5種類(5価)ですが効果は同じです。
- ロタウイルスワクチンは内服するワクチンで、ロタリックスは2回(1回1.5ml)、ロタテック(1回2ml)が3回です。基本、毎回同じ種類のものを使います。
- 接種する日は接種する1時間前から授乳を控えてください。また接種後30分まで授乳を控えてください。
- 両者とも初回は生後6週から14週6日に開始、ロタリックス2回目は生後24週までに、ロタテック3回目は生後32週までに終わらせましょう。実際は後述のように、生後2か月から他のワクチンと一緒に接種開始というプランが良いかと思います。
- まれではありますが、内服後約1週~2週後に腸重積症という腸の病気が起きる場合があります。嘔吐や血便不機嫌などの症状の有無に注意しましょう。
- 腸重積症はこのワクチンを飲まなくても、自然発症する可能性もあります。生後3か月(出生12週)以降は徐々に発生頻度増えるので、早めに初回を終わらせましょう。
- 当クリニックでは腸重積症の発症をできるだけ少なくするためと、2回接種で済む「ロタリックス」を採用しています。
- 赤ちゃんはロタウイルスワクチン以外にも複数のワクチンを打つことになっています。。当科では他のワクチンとの同時接種も行っていますので、区から送られてくる予防接種の問診表に従い、もれが無いように打っていきましょう。
- 家族にとっては赤ちゃんが生後2か月になったら、このロタワクチンとB型肝炎、ヒブ、肺炎球菌を一緒に接種するのがその後の接種も予定が立てやすいです。
- もし、ほかの接種プラン(乳幼児健診と同日に受けるなど)をご希望の方はぜひご相談ください。
予防接種の受診も大変ですが、実際に感染した場合のお子さんや家族の負担は想像以上に大変です。是非、しっかり接種していきましょう。
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ロタリックス |
ロタテック |
ウイルスの種類 |
1種類 |
5種類 |
初回接種時期 |
出生6週から遅くても生後14週6日まで |
接種回数 |
2回(27日以上あけて) |
3回(27日以上あけて) |
1回内服量 |
1.5ml |
2.0ml |
接種終了時期 |
生後24週まで(約5か月半) |
生後32週まで(約7か月半) |