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原因と結果について


よく「原因は何ですか?」と聞かれます。そこで改めて考えてみましょう。いわゆる「因果関係」とは何でしょうか?

例えば、石をガラスにぶつけたとします。ガラスは割れるでしょう。「ガラスが割れたのは石が原因で、結果としてガラスが割れた」と言ったら、皆さんはどう思われますか?例えば、石をダイヤモンドにぶつけたらどうでしょうか。ダイヤモンドは割れません。割れるのは石の方です。「石が割れたのはダイヤが原因で、結果として石が割れた」ということになるでしょうか?石とガラスの例では「石が原因」となっていますが、今回は逆に「石が結果」になっています。何か変ではありませんか?

石とガラスの例では、石の方がガラスより硬いのでガラスが割れました。石とダイヤの例では、ダイヤの方が石より硬いので石が割れました。つまり、2つのものをぶつけた時にどちらが割れるかは、両者の硬さの差で決まります。ガラスが割れたのは石をぶつけたことがきっかけではありますが、ガラスは「石をぶつけたら割れるという性質を最初から持っている」ので、ガラスにも原因があると言えます。一方で、石もガラスとぶつかったことで大なり小なり傷がつきます(硬度によっては割れることがあるかもしれませんが)。これも結果の一つです。それと同時に、石は「ガラスとぶつかると傷つく(硬度によっては割れることもあるでしょう)という性質を最初から持っている」ので原因でもあると言えます。つまり、お互いがお互いに影響し合って、どちらも新しい状態に移行(変化)したといえます。どちらも原因であり結果である、ということになります。

別の例です。蚊に刺されたら、刺された部位が膨れてかゆくなります。これも、人間だから膨れてかゆくなるわけで、例えば血液で充たされたビニール袋を蚊が刺したとしても、ビニール袋は膨れません。皮膚が膨れて痒くなるのは「蚊だけが原因」というわけではなく、「蚊に刺されたら膨れるという性質を人間が持っている」という意味で人間が原因でもあると言えます。一方で、蚊にとって人間の血液は食事です。この食事を通して蚊は自分の体を作ります。どのような血液を摂取するか、摂取した血液の性質で体の出来具合が変わります。つまり、石とガラスの例え話の時と同じように、両者ともに原因であると同時に結果であり、お互いが影響しあい、お互いが変化します。

このように、モノゴトの変化は「原因→結果」というように一方通行ではありません。同じことが病気にも当てはまります。例えば、ウィルス性肺炎という場合、「ウィルスが原因で肺炎にかかった」ではなく、実際は「接触したウィルスの数、ウィルスの感染力と人間の免疫力の関係性」で肺炎になるわけです。同じ場所にいたのに感染する人としない人がいるのはそういうわけです。(コロナウィルスのケースは、ウィルスの感染力が非常に強く免疫能が正常の人にも感染してしまうため、あたかも人間の免疫力が無関係なように現象しているだけです。)更に付け加えると、同じウィルスでも条件が変われば(例えば空気が乾燥しているか湿っているかなど)感染力も変わります。一般に、人間の体も含めて、複数のモノゴトが複雑に関わり合って変化していきます。

ということで、原因が何かと問われたら、実際は上記のようなお話なので、非常に答えにくいのです。(上記のお話もかなりはしょって書いています。)なので、普段の診察では差しさわりのない範囲内でお答えするようにしています。例えば虫刺されの場合、原因は何ですかと問われたら「虫刺されです」と答えています。厳密には誤りなのですが、この場合はそれで十分だからです。しかし、中には複雑でこうはいかないケースもあります。その際は説明が分かりづらく不十分だと感じるかもしれませんが、ご理解頂ければ幸いです。

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